この1か月ほど、漫画村をはじめとする海賊版とそのブロッキング問題に注目が集まっています。毎日のように、ニュースで報道されていますし、識者を集めた緊急討論会なども開かれているようです。
2週間ほど前、私もオブザーバーとして、日本ペンクラブの言論委員会に参加させていただき、ネットメディアの方の意見を聞くことができました。
ブロッキングに賛成する側は主に出版社。昨年から大幅にコミックの電子書籍売上の伸びが鈍化しており、これ以上海賊版サイトを放置しておくことはできないとしています。
ブロッキングに反対する側は主にプロバイダ。憲法で保証された表現の自由と通信の秘密を侵すものとして訴訟にまで至っています。また、ジャーナリストなど個人として自由にネットで表現活動を行ってきた人にとっても、ブロッキングを由々しき問題と捉えられています。
もう7年ほど前になりますが、著名なマンガをスキャンしてネットにアップロードした中学生が警察に逮捕されるという事件がありました。本人は遊び半分のつもりだったと思われますが、明らかに著作権法違反でした。個人の楽しみのために、著作物を勝手にアップロードしてはいけないのです。
また、海賊版サイトに作品をアップロードされた作家や漫画家はどう感じているでしょうか。おそらくは出版社側に対策を求めているはずです。
「いや、先生、そうはおっしゃっても、表現の自由や通信の秘密を守らなくてはいけないので、ブロッキングには賛成できないんですよ。海賊版サイトは放置やむなし、です」
と言える編集者がいたら、それは勇気ある行動なのでしょうか。
おそらくその作家、漫画家は、その出版社に作品を託すことはしなくなるでしょう。
ブロッキングに賛成するか否かに関わらず、海賊版は違法であることは誰しもが認めています。
今回のブロッキングの措置はやむを得ないものと考えています。