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当社はキリロム工科大学(KIT)と提携し、 AI(人工知能)を利活用した小説執筆事業を開始しました。 ~文芸表現と作品世界の新たなステージを目指した協働事業~

当社は去る5月、カンボジアのキリロム工科大学と提携し、AI(人工知能)による小説執筆のプロジェクトを開始しました。両者はすでに、AIによる小説作品の理解度は図るトライアルを実施し、一定の成果を認めることができたため、今回の発表に至りました。今後は実際の小説の完成を目指し、協働していきます。

<プロジェクト概要>

このプロジェクトは単なる研究にとどまらず、AIが執筆した作品を商業出版させることを目的としています。AIによる小説執筆は研究としては以前から国内他大学などで取り組みが始まっていますが、まだ、社会実装=商業出版されていません。Books&Companyとキリロム工科大学はこれを一歩進めて、人工知能が執筆した小説を実際の書店で販売できるレベルまで引き上げることを目指しています。

<プロジェクトの背景>

出版業界は1996年をピークに右肩下がりの傾向に歯止めがかかっておらず、新しい書き手や出版人が育っていく環境が著しく悪化しています。著名な文学賞を見ても、多くはベテラン作家が受賞しており、新人が文学賞を受賞してデビューしたとしてもその後の活躍を見ることはまれな状況です。一方、投稿サイトの活況に見られように、作家デビューや作品発表の在り方が大きく変化してきています。
AIによる小説執筆を行うことで、既存の書き手や小説表現、作品世界に新たな刺激を与えることを初期の目的としています。
発表に際しては、試作を重ねて、商業出版のレベルまで向上させます。
多くの読者に新しい読書体験を提供することで、出版およびコンテンツビジネスの新市場を開拓していきます。

<AI小説執筆のプロセス>

AIが小説を書くまでのプロセスを示します。

①AIに教師データとなる、著名作家の作品、ウェブや辞書データから収集した知識 基盤などを学習させる

②学習が適切かどうか、AIに質問を繰り返し、修正ループを回す。

③AIがテキストデータを理解するようになったのち、構造化データを与える。

④与えられた構造化データをAIが分析し、テキストデータを生成していく。

⑤ 生成された小説が「作品」のクオリティに達するまでも修正ループを回す

⑥ 作品と認められたのち、人為的校正をかけ、電子書籍や紙書籍として出版する

現段階では、①②のトライアルが終了し、本格的なデータセット及びディープラーニングを開始する予定です。

<AI小説の将来像>

小説は時代を超えた普遍的なテーマがいくつかあり、そのバリエーションを時代の移り変わりに合わせて展開していくことが重要です。パターン化や最適化は人工知能が最も得意とする分野であり、過去のベストセラーを学習させることで、ヒット作品を効率よく生み出すことが期待できます。

また、純文学、エンタテイメント小説、歴史小説など学習データを変えていくことで、異なるジャンルの作品を機械的、かつ短時間で生成していくことが可能となります。

小説生成のためのソフトウェア開発が軌道に乗ったのちは、出版コンテンツだけでなく、映画やドラマ、ゲームのシナリオ作成までマルチメディア事業として展開していくことを視野に入れています。
※生成されたすべての作品の著作権はBooks&Companyに帰属します。

◆キリロム工科大学◆

カンボジアの首都プノンペンから120キロ離れたキリロム高原にあるカンボジア政府から認可を受けた全寮制の4年制大学。ポテンシャルのあるカンボジア・アジアの優秀な学生に、AIのほか、VR/AR、ブロックチェーン、IoTなど実践的な先端ITテクノロジーの教育、研究を推進しています。

2014年に日本人起業家・猪塚武氏が創設。カンボジア開発評議会(CDC)に認可された大型プロジェクトの一環でもあり、同国および日本を含めたアジアの将来を担うグローバル人材の育成を目指しています。2018年度からは日本人学生の受け入れを開始しました。

開発業務は同大学の教授陣の指導のもと、学生がプロジェクトとして行います。

キリロム工科大学公式サイト https://www.kirirom.info/

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