出版業界に限らず、コンテンツを扱うビジネスはたくさんあります。映画、音楽、ゲーム、テレビ、動画などなど。また、市場で売買されるものでなくても、イベントの「コンテンツ」もあれば、教育・研修の「コンテンツ」もあります。
今はコンテンツビジネスの花盛りで、その内容がビジネスの成否を決めることになります。
私自身は出版業界の中で長くコンテンツビジネスを見てきて、こう思います。
「コンテンツの評価は市場が決める」。
当たり前の結論ですが、つくづくそう思うようになりました。
出版でも映画でもヒットメーカーと言われるような才能を持った人たちに脚光が浴びます。しかし、彼らの成功も多くの失敗作の上に成り立っているのです。その失敗の経験を次回作に生かせるのかどうか、が重要なのです。他人の失敗からも学べるか、ということも大切な要素です。その際に自分の才能の溺れることなく、きちんと市場(読者や視聴者、観客)を見ることができるかどうかポイントです。
コンテンビジネスを説明するとき、私はよくエベレスト登山に例えます。
登山隊は100人くらいいると言われていますが、頂上に到達するのは、ほんの数人。そのほかのメンバーはサポートに回ります。
また、麓のベースキャンプにはもっと多くの人がスタッフとして仕事をしていますし、日本なら日本の本国にも多くのスタッフがいます。また、多額の資金が必要ですから、スポンサー企業も探さなくてはなりません。そうやって数えていくと、数人の成功者を出すために、数百、数千、数万の人が関わることになるのです。
コンテンツビジネスもそれと同じで、ヒット作の陰に隠れて、売れなかったコンテンツはそれこそエベレストのようにうず高く積もっています。しかし、その売れないコンテンツの上にしか、売れるコンテンツは生まれないという自己矛盾が生じます。
アマゾンドットコムのビジネスはロングテールと言わていますが、コンテンツビジネスの性質をうまくとらえたモデルと言えるかもしれません。