今月(2017年12月)アメリカのディズニー社が20世紀フォックスを買収するというニュースが世界を駆け巡りました。買収額は6兆円とも言われています。
その規模や金額の大きさもさることながら、なぜディズニーは次々と有力コンテンツ企業を傘下に収めるのでしょうか?
2014年頃にみずほ銀行産業調査部が公開したレポートがあります。そこには今後のコンテンツ産業は巨大化するしか道はないという、今回の買収劇を予言するような内容が書かれているのです。
簡単に内容を紹介しましょう。
出版、映画、ゲーム、音楽などのコンテンツ産業は独自の発展を遂げてきて、商品売買のための流通もバラバラであった。しかし、スマートフォンの登場により、それが同じプラットフォームの上に乗ることになった。したがって従来型のビジネスに固執していると、市場との乖離が激しくなると指摘しています。
一方、コンテンツを生み出すためのクリエイターたちは、非常に劣悪な労働条件や契約によって疲弊している。それを改善しない限り、有能な作り手は確保できないし、いいコンテンツは登場しない。今は成功したほんの一部のクリエイターにお金が集中するようになっていて、その他の人材は低い報酬のままである。多少の失敗は吸収できるくらいの企業規模がないと、今後、新しいコンテンツは出てこない。従って、日本のコンテンツ産業もコングロマリット化すべきである、という内容です。
ブログ12で書いたように、コンテンツ産業はエベレスト登山と同じで、数人の成功者を出すために、数千人が支えるという構造になっています。この時、残りの数千人がきちんと生活できる報酬を用意しないと、結局は頂上に登り詰める人も現れないわけです。
出版でも映画でも音楽でもアニメでも、みな夢を抱いて業界に飛び込んできます。しかし、そこがひたすら疲弊するだけの場所では、将来的にみてもいい人材が入ってきません。
巨大化するディズニーは疲弊するクリエイターを救うことができるのか?
同じような買収劇が日本でも見られるのか?
今後、見守っていきたいと思います。