前々回のブログで1日あたりの紙の新刊書籍は、約200~300点が出版されるということを書きました。
すごい数です。
なぜ、こんなにたくさんの本が出るのでしょうか。
日本には、出版社が3500社ほどあるといわれています。その3500社が年平均20冊出すと、1日200点という計算になります。
出版は本来、新聞や放送に比べ、大変手軽なメディアでした。新聞社のように全国に支社を作る必要はありませんし、印刷も外部の会社が行います。ラジオやテレビのように許認可や高価な設備もいりません。
だから、3500社もあるのですが、私自身はこの数字は民主主義や表現の自由、多様性を担保するものだと思っています。誰でもが雑誌や書籍を使って、自らの考えを表現し、また、創作の方法として利用するわけです。「ネットメディアが出てくるまでは」という但し書きがつきますが。
出版業界のピークは1996年。ウィンドウズ95が発売された翌年です。1991年のバブル崩壊後も5年間は伸び続けたのですが、徐々にネットにとって替わられていきました。
売上だけを見れば、下がり続けている斜陽産業といえなくもありませんが、別の見方をすれば、出版にしかできないことが、徐々にはっきりとしてきたとも言えます。
出版業界は、その出版にしかできないことをやる時期に差し掛かってきたのではないでしょうか。