Column & interview

コラム

BC号航海日誌7
「電子書籍が紙書籍を救う?(2)」

紙書籍の出版はハードルが高く、しかも100万円以上の投資案件となると説明しました。本というのは出してみなければ、どれだけ売れるかはわかりません。過去作がある著者ならある程度推測することができますが、あくまで仮説に過ぎないのです。

名の通った著者が初版5000部を出したけれど、数百部しか売れず絶版になったなどという話は、日常茶飯事です。残りの4000部以上は、断裁され、再生紙となります。

そんな本は出さなければよかったじゃないか、という声も聞こえてきそうですね。

でも、本を買った数百人はその著作に満足していたかもしれませんし、本を書いた著者も、どうしても伝えたい、世に訴えたいことがあったのかもしれません。少数の声に耳を傾けるのも民主主義なくてはならない要素だと思います。

電子書籍はそんな「少数の声」を届けるのに大変便利なメディアといえます。コストを含めた出版のハードルが低く、しかも絶版がないからです。

そこで考えたことがありました。

売れるかどうかわからない作品は、最初はハードルの低い電子書籍で出版し、ある程度読者がいることがわかれば、紙書籍として出版する。デジタルファーストかつペーパーレイトという出版スタイルです。これなら、紙のムダも省けるし、しかも本を出したいという人のニーズにも応えられるという結論に至ったのです。

似たような仕組みを提供している出版社やプラットフォームはありますが、十分機能しているとは言えない状況です。

我々はデジタルファースト出版をさらにブラッシュアップし、前進していくことにしています。

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