Column & interview

コラム

BC号航海日誌25 紙の書籍の電子化率

 5月12日に日本出版学会が開かれ、興味深い研究が発表されました。

 論文のテーマは『電子書籍:2014年と2015年の紙発行書籍の電子書籍化率』(伊藤民雄 実践女子大学図書館)です。

 2014年と2015年に発行された書籍の中から、どのくらいの点数が電子書籍化されたのか、という調査を論文にまとめています。なぜ直近の数字ではなかというと、出版社の販売方針として、紙の書籍を発行後、半年以上たってから電子化するなど、対応がまちまちだからです。3年以上前のデータなら、ほぼ電子化されるものとそうでないものがはっきりするというのが理由となっていました。

 問題の電子化率ですが、2014年が20.4%、2015年が20.5%だったとの報告がありました。

 当社のセミナーにもご登壇いただいた鷹野凌さんの調査(『出版ニュース』2017年3月上旬号)では、2012年以降の電子化率を38.2%としています。

 もちろん調査の方法が違うからなのでしょうが、ざっくりと1/5~1/3程度しか電子化されていないのが現状のようです。

 その後、ある大手出版社さんと打合せをさせていただいた際に聞いた話では、現在では、基本的に全作品を電子化する方針で、サイマル配信に対応した業務フローになっているとのことでした。ただ、電子化は著者との契約などで約7割にとどまっているそうです。

 別の見方をすれば、7割程度までには引き上げることができるという、いいお手本でもあります。

 少しでも多くの本が電子化され、今の読者だけでなく、5年後10年後の読者の元に届けばいいと考えています。

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