当社がオフィスを構えるのは東京都千代田区神田神保町という場所です。
ウィキペディアなどで調べていただければわかりますが、この土地には江戸時代末期に蕃書調所という、翻訳のための役所ができ、明治時代に入ると数多くの学校が創設され、学生街として発展してきました。
その後、この町に集う学生や研究者のために、書店や出版社が数多く誕生していきました。
今でも岩波書店や小学館、集英社、有斐閣など日本を代表する出版社が数多くあります。
著名な出版社だけではありません。千代田区内に限っていうと、1000社ほどの出版社があるそうです。日本全体では3500社あると言われていますので、約3分の1が狭いこの地域に集まっているのです。
先日、当社のチラシを持ってポスティングに回ったのですが、実に要領よく回ることができした。50社ほどが徒歩圏内にあるので、便利なことこの上もありません。
そんな中から、実際にご注文をいただいた出版社さんもありました。
あまり知られていない事実かもしれませんが、千代田区は出版業を地場産業としてとらえているのです。九段にある千代田区立図書館には出版業に関する書籍を集めた専門コーナーがあります。御茶ノ水の楽器街、神田小川町のスポーツ用品店街、秋葉原の電気街、大手町の金融街…。千代田区にはさまざまな専門エリアがある中で、古本街だけが少しだけ特別扱いされているようです。
私がこの場所で仕事を始めた30年前から比べると、印刷、製本、取次などは別の場所に移り、すっかり様変わりした感じがあります。
今は外国人観光客がガイドを片手に古本屋街を歩く姿をよく見かけます。
ほかの千代田区内に比べて、少しだけ時間がゆっくりと流れているような気がします。