Column & interview

コラム

BC号航海日誌29 なぜ、この人たちは本を買ってくれるのか?(1)

今、物もサービスも簡単には売れない時代になりました。また、さまざまなものが浅く広く売れるのではなく、売れ筋だけがその他売上を支えているという構図になっています。

出版業界も例外ではありません。今年売れた本は『君たちはどう生きるか』ですが、ほかの本が売れたという話はさっぱり聞こえてきません。かつて半年ごとに話題となった芥川賞や直木賞もすっかりかすんでしまった感じがします。

では、こんな時代にどう自社製品、サービスを売ればいいのか。

それはずばり、コミュニティです。

売上は、製品やサービスを受容する、コミュニティが形成されているかどうかに左右されます。

スポーツ用品メーカーの「ナイキ」でウェブマーケティングを担当していた方に興味深いお話を聞いたことがあります。

以前、ナイキといえば、マイケル・ジョーダンやタイガー・ウッズなど、大物プレーヤーを広告塔に起用し、ミリオンのお金をかけて直接的な宣伝をしていました。

これも効果がないわけではないのですが、今は別のアプローチをとっています。

たとえば、ジョギング・シューズをたくさん売りたいときは、Facebook上にジョギングサークルを作り、参加者に自由に交流してもらうのだそうです。

・毎日5キロ走っている
・自分のジョギングコースを自慢したい
・地元で市民マラソンがある
・お気に入りのウェアが発売された
メンバーが思い思いの情報をアップして、コミュニケーションを図ります。活発なグループほど、靴底の減りが早く、次のシューズを買ってくれるというわけです。

このようなコミュニティがあれば、いつ、どのタイミングで、どれだけのロットの、どんな商品を投入すればいいのかが相当的確に分析できます。

では、次回は、これを書籍や出版に置き換えてて考えます。

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